ブラックアウトはフリーダイビングや魚突きなど海に潜る全ての人に引き起こる可能性があるとても危険な症状です。
ブラックアウトを引き起こしてしまった場合、助ける人がいなければ死に直結するため海に行く目的に関係なく1人で潜る事はとても危険である事をまず認識しましょう。
この記事では人がブラックアウトする原因とできるだけ引き起こさないための対策方法、とても危険な呼吸法であるハイパーベンチレーションについて解説します。
安全に潜るための知識を覚えて海に潜る事を最大限楽しみましょう。
ブラックアウトを防ぐ方法
ブラックアウトとは停電、失神、一時的な記憶喪失などの意味があります。
今回は素濯りやフリーダイビングなどに関係する失神について解説します。
ブラックアウトは長く息を止めることにより脳内の酸素濃度が低下し、脳内細胞が壊れることを防ぐための自己防衛によって引き起こるのが原因です。
なぜ息を止めると苦しく感じるのか
体内の酸素量が少なくなることにより苦しいと感じるのではなく、体内の二酸化炭素の量が増えることによって脳から苦しいと感じる指令が出ます。
人間の脳はブラックアウトを未然に防ぐための措置として意識を失う前の段階で呼吸をするように命令を出します
脳から苦しいと感じる指令はブラックアウトに陥るかなり前の段階で出るため、苦しいと感じてすぐに意識を失うことはありません。
ブラックアウトを防ぐ最も簡単で確実な方法
曖昧な表現に思われるかもしれませんが『無理をしないこと』これが1番確実です。
少しでも苦しいと感じたら浮上して息をすることで余裕を持って対処することができます。
息を止めて苦しいと感じるまでの時間はその日の体調や精神状態によって変わり、寝不足や疲れ、不安や緊張などたくさんの要因によって決まります。
前日〜当日までにできるブラックアウト対策はしっかりと睡眠をとり、心身ともにリラックスした状態にし、素潜りやフリーダイビングを行う前には食事をとらない事が重要となります。
食事をとらない理由は食べた物を消化するためにも酸素を使うため、息を止めておける時間が短縮する要因のひとつになるからです。
危険な呼吸法ハイパーベンチレーション
ハイパーベンチレーションとはフリーダイビングの競技選手等が行う呼吸法です。
体内に残っている二酸化炭素を極力減らすことを目的としてアスリート達により編み出されました。
人が苦しいと感じる原因は体内の二酸化炭素の量が増える事であり、その苦しく感じるまでの時間を少しでも長くするために体内の二酸化炭素の量をできる限り減らす事によってより長く潜っていられるようになります。
ここまでの説明だけだとハイバーベンチレーションは魔法のような呼吸法に思えますが詳しく知ることによって非常に危険な呼吸法であることを理解しましょう。
なぜ長く潜れるようになるのか
脳が苦しいという指令を出すタイミングは体内の二酸化炭素の量が一定値を超えた時です。
ハイパーベンチレーションを行う事により体内の二酸化炭素の量が減り苦しいと思うまでの時間が伸びて、その結果長く潜れるようになります。
しかし実際には潜れる時間が伸びたわけではなく、苦しいと感じるまでの時間が伸びている事を理解する必要があります。
苦しいと感じるまでの時間が伸びている事を理解する
下のグラフは通常の呼吸法とハイパーベンチレーションの呼吸法による酸素量の低下と二酸化炭素量の上昇を分かりやすく図に表したものです。
通常の呼吸法の場合は酸素量が失神ラインを下回る前の段階で二酸化炭素量が苦しいと感じるラインを超えているので脳が指令を出し、苦しさを感じることができます。
ハイパーベンチレーションの呼吸法の場合は二酸化炭素量が苦しいと感じるラインに到達した時にはすでに酸素量も失神ラインに到達しており、苦しいと感じることなくブラックアウトを引き起こしてしまうのです。
この原理を理解する事によってハイパーベンチレーションがどれだけ危険な呼吸法であるかを認識することができます。
最後に
ブラックアウトは海に潜る者であれば誰にでも起きる可能性があります。
ですが、この記事で解説したブラックアウトを防ぐ方法やハイパーベンチレーションは絶対に行わない事により、できるだけ引き起こさないようにすることができます。
この記事が安全に潜るための一助となり、そして何よりも海に潜る楽しさを多くの人に知ってもらうことができれば嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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