魚突きをしていれば経験したことがある人も多いんじゃないかと思いますが、漁師に注意を受けたり警察が来て魚突きを中断させられ長い時間、質問攻めに遭いしかも今日はもう海には入らないで帰って下さい...。なんて言われたことが
条例や規則違反をしていなければそれくらいで済み無事家に帰ることを許されるのですが、この後に紹介する魚突きをする上でのルールを守っていなければ最悪、ご同行願われます。
この記事を読めば魚突きをやっている、もしくはこれから始めたいという方が警察のやっかいにならないために必要な知識を身につけることができます。
法律の話がメインなので堅苦しいですが、魚突きをする上では絶対に必要な知識なので時間がある時に読んでください。
魚突きはどこの海でもやれる?
『獲ったど~!!』で有名なあのテレビ番組!2023年の今からなんと20年も前に放送されていたんですね!笑 時がたつのは早い...。
リアルタイムで見ていた人も多いんじゃないでしょうか?
そんなテレビの影響もあり現在では魚突きという存在を知らない人は少ないと感じますが多くの人は自分の周りに魚突きをしている人がいないため認知度が乏しく、そのため突き師に対する風当たりが強いのが現状です。
子供の頃に海へ行き磯でカニや貝を獲ったり潮だまりで小魚を捕まえたり、もしかすると近所の釣具屋で竹ヤスを手に入れ、魚を突いたり潜ったりして遊んだ方もいるかもしれません。
そのような経験から案外どこでも魚突きはできるのでは、と思われるのかもしれませんが魚突きをできるところは都道府県の条例でしっかりと決められています。
今回の記事では大きく分けて2つのことをお話していきます。
- 魚突きをする上でのルール
- 突き師が心掛けるマナー
それではひとつずつ紹介します。
魚突きをする上でのルール
漁業調整規則
漁業調整規則という水産庁から発表されている条例をご存知でしょうか?
検索してみるとわかりますがこの規則により各都道府県で魚突きができるかどうかが決められています。
使用できる道具も細かく基準が定められ、『それは無理だろう...。』というような規則もあります。
たとえば、ヤスの使用はできるが発射装置(ゴムなど)の使用禁止。(いや、それは槍でしょ)
ヤスの使用はできるが水中メガネの使用禁止。(心眼発動ののち入水して下さい)
魚突きを禁止にしてはいないが明らかに『やるなよ!』と言ってきています。
ご自分が普段いっているポイントがこの規則に違反していないか、また初めていくような場所では前もってしっかりと確認し、『この場所は魚突きをしても問題ないな』と認識した上で楽しんで頂けたらと思います。
全国的にみればまだまだ魚突きをできる都道府県は多いですが今後の突き師の行動次第ではこのような魚突き禁止!!の風潮が全国に広がってしまう恐れがあるため、この記事を読んでくれている良識ある人には慎重に行動してくれることを願います。
海面利用協議会
長年、魚突きをしている人でもなかなかなじみのないものかもしれませんが簡単に説明するといわゆるローカルルールです。
海面における漁業と海洋性レクリエーションとの紛争の予防及び調整・解決を促進し海面の円滑な利用を図るため、都道府県海面利用協議会という名前で設置されます。
この協議会は全国すべての都道府県に設置されているものではなく、問題解決をする必要がある海面においてその地域に住む漁協員、遊漁者、海洋性レクリエーション関係者、学識経験者によって構成されます。
問題解決の際にその地域限定の規則(ローカルルール)を定めることができ、正規の方法で定められた規則であればWEB等でも確認することができます。
正規の方法と書きましたが中には漁協関係者が一方的に決めつけ自分勝手な規則を作ってしまう場合があり、その地域で暗黙の了解として根付いてしまうことがあります。
なぜこのような規則や条例が作られたか
現在、マリンスポーツは多岐にわたりそのひとつひとつを細部まで取り締まることは難しく、その地域での決まり事として規則や条例が作られてきたのですが、やはり1番の要因は密漁者の存在が大きいと思われます。
スキンダイビングや我々が行っている魚突きなどは特に密漁者と間違われやすく、漁業関係者やその地域に住む人には区別がつきにくく密漁と思われるような行為をしてほしくないため規則や条例が作られていきます。
魚突きという趣味はどうしても密漁と間違われやすいため極力、人の目につかないようにして楽しむことが重要だと思いますが、どうしても人と出会ってしまう場面はあります。
私がいつも心掛けていることは、必ず自分から挨拶をすることです。
元気よくフレンドリーに接することを意識し、会話ができそうな雰囲気であれば『ここで魚突きをしょうと思うんですが大丈夫ですか?魚にしか興味がありません!』という感じで話しかけるとそれまでよそ者を見るような目だった人が少し優しい顔に変わり、気を付けてやりな!と言ってくれたり、この辺ではもしかしたらダメって言ってくる人がいるからあの岩陰の向こうでやった方がいいよ。とかアドバイスまでしてくれる人もいました。
相手も人間ですので変に避けて疑われるよりこちらから行動を起こした方がわかってもらえる場合もあります。
まぁここで潜ったらダメと言われることもあるんですがその時は潔く、そうなんですね!ありがとうございます!といって早急に違うポイントへ移動します。
海は誰のもの?
補足として結構昔の出来事ですが最高裁で海は誰のものかという裁判があったことを紹介します。
昭和61年12月16日、田原湾干潟訴訟判決
検索とすぐわかりますが最高裁で【海は誰のものでもない】と判決されています。
これを見ると『じゃあどこで魚突きをやろうと自分たちの勝手だろう!』と思う人が出てくると思うのですができない理由があるんです。
それが何を隠そう、かの有名な法律
漁業権!!
沿岸漁業の秩序維持と漁民の経済的保護を目的として作られており、簡単に説明すると稚魚を放流したり漁獲量を制限したりして海洋資源の枯渇を防いでいる法律で魚突き師全員の天敵であり、漁協に与する漁師のまさに
伝家の宝刀!!
漁業権の中には
- 妨害排除請求権(民法198条)
- 妨害予防請求権(民法199条)
があります。
このうち2つ目の妨害予防請求権があるため魚突き師は漁師に逆らうことができず皆の海だろうと言っても全くなにも意味がないのです。
その名の通り妨害される前に相手の行動を制限し、やめさせることが出来る最強の権利。
漁師の漁場から離れていようと絶対漁師の船では来れないだろうと思われる浅瀬であっても漁師が邪魔だと言ったら邪魔になる、カラスは白といったら白なんだ!と言わんばかりの理不尽さ。
なので漁師の方と言い争いになりそうになった場合、素直に引き下がりどうにか大事にならないよう立ち回った方が得策です。
でなければ漁師の伝家の宝刀が火を噴きます
突き師が心掛けるマナー
これまでに規則や条例など魚突き師が守るべきルールについて説明してきましたが、それだけを守っていれば大丈夫!というわけではないのが突き師の辛いところです。
漁師や地域住民とのトラブル
その地域に住んでいる人や仕事をしている人はここの海は魚突きをしてもいいということを知らない人が多いです。
漁師でさえ詳しい法律や正式に決められているローカルルールがわからない人がほとんどであり、魚突きをしている、もしくはこれから始める人は必ずと言っていいほど何かしらのトラブルに遭うことが予想されます。
その時に、『ここは法律やローカルルールで規制されていないから魚突きをしても問題ない!』と抗議しても意味がありません。
なにせ前項でお話した漁業権が発動してしまうからです。
その場だけの話し合いで終わってくれればいいんですがもし、抗議した相手が漁業調整規則や海面利用協議会という存在があることを知り、規則や条例で禁止にしてしまえばいいんだ!と行動を起こしてしまった場合、我々突き師はもうどうすることもできません。
その地域で昔から漁業を営んでいる方の中には政治家と繋がりを持つ人が多くいます。
そういう人たちに政治家に相談されると魚突き師にとってはデメリットしかありません。
最近、長崎県の漁業調整規則が改正され発射装置(ゴムなど)の使用が禁止にされました。
この背景には少なからず地域住民や漁師とのトラブルがあり、突き師の行動によって決められてしまったことは間違いないでしょう。
この突き師にとって最悪の流れが全国へ広まらないためにも、個人でできるトラブル回避の方法をお話しようと思います。
人がいない所で潜る!
トラブル回避に1番効果的であり、私が思うにこれは突き師のマナーと思っていることがこの『人がいない所で潜る』です。
漁港や釣りで有名なポイントなどは平日であっても人がいる場合が多く通報してくれと言わんばかりのシチュエーションであり、なるべく避けたい場所です。
突き師のほとんどはポイントの新規開拓する場合Googlemapなどの航空写真で行けそうな所を見つけ、あとは己の身体能力に物を言わせ気合と根性で潜れる場所を探し出します。
何キロもある装備を身につけ、山を越え谷を下りようやく着いたと思ったら魚の気配すら感じられないハズレのポイント...。
そういう苦労を続け、やっと見つけることができたところで潜るのです。
SNSで明らかにポイントがわかるような画像や動画をアップしているバカが...
失礼!思慮不足な方がいます。
自慢したい気持ちはわからなくもないですがその画像や動画を見て人が集まり結果、通報されポイントをまた一つ失う...。
独占しろ!と言っているわけではなくそのようなリスクがあることを理解してほしいと思います。
中には目立ちたくないからフロートを使わないという人もいますが、目立たなくてもフロートを使用できる方法はあります。
100年後、自分の孫やそのまた孫の世代が自由に魚突きを楽しむために
この記事で規則や条例、魚突きをする人のマナーなど話してきましたが、我々の行動を制限し、鬱陶しく思ってしまう漁業調整規則ですが、許されている県では唯一の反論できる武器、いわゆる
魚突き師の懐刀なのです。
漁業権やローカルルールに虐げられ、何度も嫌な思いをしてしまうかもしれませんがこの漁業調整規則で許されている場所では今後も魚突きすることができます。
この最後の砦である漁業調整規則を振りかざすのではなく大切に守ってゆき、100年後の未来でも今と同じように、できることなら状況が好転し魚突きを愛する人が誰もが堂々とこの素晴らしいアクティビティを楽しめる世の中になることを願っています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
分かりにくかった事やご質問等ございましたらこちらまでお気軽にお問合せください。
全身全霊をもって回答させて頂きます!
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