【魚突き入門】第3回目は『寄せ』について。
魚突きにおける寄せとは自分で魚を追いかけて突くのではなく、魚の好奇心を刺激し、手銛の射程内まで近づいてきたターゲットを突く技術です。
- 魚が逃げてしまって全く突ける気がしない…
- どうしたら上手く魚を突くことができるの?
- 魚から近づいてくることなんてあるの?
そんな悩みを持つ初心者の方は多いのではないでしょうか。
この記事で解説する『寄せ』という技術を習得すればそういった悩みを解消する事ができ、さらに魚突きの魅力に取り憑かれることとなるでしょう。
寄せとは
魚が逃げてしまい全く突ける気がしない!
という悩みを持つ方のためにまずは『寄せ』とは何なのかを説明していきます。
魚突きにおける最も基本的な技術の1つ
冒頭でも話しましたが、寄せとは魚の好奇心を刺激し相手から近づいてもらう技術のことです。
人間は海の中で魚と追いかけっこしても絶対に勝つことはできないため、最もシンプルで効果的な技術でありそのため魚突きにおいて何よりもまず習得するべき基本的な技術の1つなのです。
寄せのやり方
やり方について解説していきますがまず、前提として寄せに必要なスキルはありません。
強いて言えば何もしないということ。
人が潜り、海底でじっとしている状態でも人の鼓動や海流が身体に当たることによって発生する淀みを 魚は感知することができます。
それだけでも充分に魚の好奇心を刺激することができ、魚を寄せることができます。
『寄せ』とは言わば我慢の技術であり、いかに何もせずいられるかにかかっている。
なぜ魚が近づいてくるのか
魚の方から近づいて来ることなんてあるの?
私も寄せを習得する前はこのような疑問を持っていました。
書籍やネットの情報で『寄せ』という技術があることは知っていましたが、
本当に近寄ってくるのか?と半信半疑でした。
試行錯誤を繰り返すうちに魚を少しづつ寄せられるようになり、今ではこの技術を疑いようもなく素晴らしさを体感することができるようになりました。
警戒心と好奇心
魚達には警戒心と合わせて好奇心も備わっており、そのどちらが勝るかにより「逃げる」か「近づいてくる」かが決まります。
魚種や魚の大きさによってこのバランスは異なるため、その個体に合わせた寄せ方が必要となってきます。
どんな魚でも必ず警戒心と好奇心を併せ持っているためいかに警戒心を与えず、好奇心を刺激できるかが重要となってきます。
絶対に近寄らせてくれない魚もいれば、中にはこちらが不安になるほど警戒心の薄い魚もいて手で触れる様な距離まで近寄らせてくれる事もあります。
魚の大きさによる警戒心と好奇心の違い
同じ種類の魚であっても小さいほど好奇心が強く、大きくなるほど警戒心が強くなる傾向があります。
20cmにも満たない石鯛は海底まで潜るとすぐに近寄ってきて手銛に興味があるのか、銛先付近を口でつついたりします。
50cmを超えるほど成長した石鯛は簡単には寄ってこず、手銛の射程外をうろうろと泳ぎこちらを確認する行動をよく取ってきます。
どちらの個体にも言えることですが大小はあれど好奇心は必ず持っているということです。
前に魚突きをしていると、1cmほどのカワハギが近寄ってきてグローブのゴムの部分がほつれて出てきた糸をつつきながら1日中ストーキングされた経験があります。
優しく捕獲して家に連れて帰り、飼育してやろうかと思うほど可愛かったです。
魚の好奇心を刺激する方法
『側線』という魚に備わっている感覚器官
側線とは人間にはなく魚体の中央を走っている感覚器官で、魚にとってのレーダーみたいなものです。
水圧や水流、水の振動、音などをどれほど微弱であっても感知する極めて敏感な器官であり、これにより岩礁や海藻の有無や距離まで知る事ができます。
つまり、魚の好奇心を刺激する方法は魚に備わっているこの側線に警戒心を与えない程度に訴えかけ、こちらに興味を持ってもらう必要があります。
とても敏感な器官のため手銛が岩にあたるような小さな音であっても魚に警戒心を与えてしまうため細心の注意が必要となります。
『何もしない』が通用しない魚への対処
寄せでは基本的には何もせず極力、音や振動を発生させないようにして、人には感知できない鼓動や海流の淀みによって寄せることが理想です。
それでも寄らない魚はいるためこちらから好奇心を刺激する方法をとる必要があるので効果的な方法を紹介します。
手銛を揺らす
大きく揺らす必要は無く、銛先が左右に振れる程度で充分です。
魚は手銛の長さを認識しているため余りにも大きくアクションを起こしてしまうと警戒心を与えてしまう要因となってしまいます。
岩を擦る
海底の岩を擦る方法でガリガリと引っ掻く必要は無く、グローブでザラザラと撫でる程度でもアピールとしては充分な成果が得られます。
砂を巻き上げる
砂をすくい上げて巻き上げるほどは必要ありません。
海底の砂をポンポンと軽く叩くだけで寄ってくる魚はいます。
それだけ魚は敏感な生き物なのです。
息を少し吐いて気泡をだす
余り多く息を吐いてしまうと長持ちしない原因になるばかりか魚を散らしてしまう事もあるため本当に少しだけ!
空気の泡が2~3個上がって行くくらいのイメージで良いです。
これらの方法は自分が思っているよりもできるだけ静かにする必要があります。
以上のような好奇心を刺激する行動はあくまで最終手段であり、理想は何もせずに寄せることです。
魚突きで使用する手銛やマスク、グローブなども以下の記事で紹介していますのでぜひ読んでみて下さい。
魚種別の寄せ方
どんな魚にも寄せは有効なのか
魚突きにおける基本的な技術の1つである『寄せ』ではありますが、どんな魚にも有効というほど万能なものではありません。
そもそも全ての魚に効果があるスキルというものは存在せず状況に応じて使い分ける必要があります。
石鯛や真鯛、黒鯛などの鯛系
海底の岩場付近で獲物を探し、捕食することを基本としている鯛系の魚達には
・グローブで岩を擦る
・手銛を揺らす
などが効果的な場合があります。
ほかの魚が岩場で獲物を見つけ、捕食しているように勘違いするためか岩を擦る行動は特に有効です。
ヒラマサやブリ、カンパチなどの青物系
比較的水深があり、良く潮が通るポイントでは回遊する青物に出会える可能性が高まります。
カンパチは何もせずとも近寄ってくるほど好奇心旺盛な魚であり青物の中では寄せやすい魚です。
その他の青物には
・手銛を揺らす
・気泡を出す
などの行動で近寄ってくることもありますが、単純に好奇心が強い個体である場合が多いように感じます。
私は青物に対してウエイトの重みを利用する自然降下で興味がないフリをしながら近寄り勝負をすることがよくあります。
キジハタやアカハタ、クエなどの根魚系
最後に根魚系ですが狙って寄せるのは困難を極めます。
海底に点在する岩場の穴などを基本的な住処としているため、逃げ込むための穴から離れて自ら近寄ってくるような行動はまず取りません。
潜降して海底に着底した段階で魚が逃げずにお見合い(魚が真正面にこちらを見ている状態)に持ち込むことができれば勝負ができます。
根魚系に効果的な方法は特になく、着底するまでどれだけ相手に気づかれないかが勝負のカギとなります。
状況別の寄せ方
魚種ごとの寄せ方と合わせて、状況での違いでも取るべき行動が変わってきます。
ターゲットを見つけて潜降する場合
海面から海底を泳ぐ魚を見つけて潜降を開始する場合、魚の進行方向を確認しその後の行動を予想して潜る必要があります。
重要なポイントとしては
・魚から見つからない障害物を見つける
・少し離れた位置から潜降し障害物に隠れながら寄せる
どの魚にも言えることですが潜降から着底まではなるべく気づかれない工夫が必要となります。
付近に障害物になるようなものがない時はターゲットの真上から自然降下で近寄る方法もあります。(魚には真上が見えない種類のものが多いため)
ターゲットが見つからない状態で潜降する場合
濁りが酷く視界が悪かったり、水深が深く海底が見えない状態で魚を見つけることができない場合、1度目の潜降では海底の状態を把握することに専念した方がいい場合もあります。
1度目の潜降で得た情報を元にどの障害物に身を隠し、どのように魚を寄せるかをイメージして息を整えた後、2度目の潜降に入ります。
1度目の潜降で「海底の状況を見てみるだけ」という気持ちで潜ることは避けた方が良いです。
いつでも魚と勝負できる心構えを持ち、常に臨戦態勢で潜降しましょう。
私も過去に気が緩んでいる状態で潜降し、急に現れた大物に面食らってワンチャンスを逃した経験が山ほどあります。(常に海底には2mを超えるカワハギがいると想像し潜る心構えが必要となります。そんな獲物いるはずありませんが...笑)
まとめ
【魚突き入門】第3突き目『寄せ』いかがだったでしょうか
この記事で解説した通り、寄せは魚突きの基本的な技術の1つであり、その日の収穫は寄せられるかどうかに掛かっていると言っても過言ではありません。
『寄せ』とは言わば我慢の技術であり、いかに何もせずにいられるかが重要なのです。
好奇心を刺激する方法はあくまで最終手段で、この記事で紹介した技術は私個人の経験を元にしていますが魚の個体によっては通用しない事もあるため、参考程度に試してゆきぜひ、自分なりの魚の寄せ方を見つけて下さい。
自分の能力を過大評価せず、安全第一に練習をすれば必ず結果は付いてきます。
この記事で一人でも多くの人が技術を向上させることができ、素晴らしい思い出が積み重なっていくことを心より願っています。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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